「正しさ」で攻めようとしていないか

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何かをしようとするとき、だれかを説得しようとするとき、
私たちは「正しさ」からそれを語ろうとしていないだろうか。

「正しければ、それでわかってもらえる」と思っていないだろうか。

2月18日、コミュニティデザイナーの山崎亮さんの話を伺ってきました。
山崎氏はもともと建築がご専門。
阪神大震災のころに、親を亡くした子どもを、子どもを亡くした親が慰めているのを見たそうです。
こんな状態を災害のとき以外にもつくれないかという意識が
コミュニティデザインに取り組む根底にあります。

お話はJTと厚生労働省の戦略の違いふくめ、とても示唆に富む内容でした。
私なりに印象に残った点をメモします。

◎戦後から1960年代くらいまで、税収が間に合っていなかった。
ゆえに地域のことは自分たちでやった。たとえば道普請(みちぶしん)(参考ブログ)。
1960年代以降税収がふえて、行政ができる領域が増えた。
最初は感謝していたけど、無駄も感じるようになった。これが1970年代。
1980年代には余ったお金の使い方を住民たちで考えるように。「まちづくり」の始まり。
2000年代からは余った税金がなくなってきた。
2010年代から、もう一度住民が自分たちで地域のことを担う時代。

◎なぜいまコミュニティデザインか。理由のひとつに、国や行政にお金がないということがある。

◎行政の「すぐやる課」。むしろ「あなたと一緒にすぐやる課」がよいのでは?

◎ワークショップをやるときに、まだ要望、陳情感覚の人がいる。今すべきは提案実行型ではないか。

◎仕事をして、コミュニティデザインの教科書はないと思っていた。
OJTしかないと思っていた。
しかし、社会福祉の教科書をみたら考え方が見事にまとまっていた。

◎ヒアリングをするとき、会議室にきてもらうのではなく、相手のところにいく。相手に主になってもらう。

◎地域に入るとき地域の人脈がどうなっているのかを理解する。
誰に力があるのか。誰と誰を同じテーブルにしてはいけないのか。

◎いきなり攻撃しようとしてくる人もいる。
集まったときに、キーパーソンに大きな声で挨拶。
自分自身の、その地域におけるつながりを見せる。

◎正しさだけでは人は動かない。楽しさ、美しさが必要。

◎コミュニティ、エンパワーメント、オーガニゼーション。
コンセプトはみな「正しい」。ただ、それだけでは動かない。

◎行動経済学によると、人は2つのシステムで物事を判断する。
システム1、システム2。システム1は感性。システム2は理性。
システム1の判断は短い。またリテラシーを要しない。
システム2の判断には時間がかかる。またリテラシーを要する。
※システム1とシステム2についてはこちらのブログの対比もわかりやすいです。

◎タバコに関して、JTの戦略はシステム1。
良いかどうかは別として「おしゃれ」に訴えかける。
一方厚労省はシステム2から攻める。
癌になる確率とか。それは、厚労省は勝てない。

◎医療福祉のキャンペーンはシステム2に訴えがち。
一般人が「介護保険がパンクします」と言われてもピンと来ない。

◎ふるい公民館でママイベントに参加している自分の写真が
インターネットに載っていいと思えるか。
「私はここに居るべき人だ」と思えることが大事。

◎事例集めはスポーツだ!
まず、ネットを使って100の事例を集める。
そのうち10くらいはピンとくる事例がある。
10の事例についてまとめる。
10の中で特に気になったものについて本、雑誌で深堀してさらにまとめる。
「こりゃすごい。感動。かなわん。」と感じたものについて、手土産持って会いに行く。

◎事例をたくさん知っていると目利きになれる。
ワークショップで出た案のうち、何が伸びるものかがわかる。

◎漫然とKJ法をしても仕方がない。
スタッフに10倍の知識があるかどうか。

◎地域で何かをするときにいろんな声が飛んでくる。
大切なのは「わかる!」と言ってくれる仲間。叩かれても「でもやろう」と思える。

今回で11回めを迎えたPRESENTの企画運営も見事でした。
Join for Kaigoの秋本可愛さん(写真左)、運営の皆さん、ありがとうございました!

医療はこのままで良いのか(在宅医療カレッジ特別企画 登壇者発言メモ)

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本日は在宅医療カレッジ特別企画に参加してきました。
年内の予定では、このイベントが最後です。
内容、とても重厚でした。忘れないうちに登壇者の皆様の発言メモをまとめます。
なお、私のノートからの書き起こしです。すべての発言を網羅はしていません。
また登壇者様の意図を正確には反映していない旨、予めご理解いただけると幸いです。
登壇者の皆様の肩書は、上のリンク先のページにてご確認ください。

●佐々木氏
医療はこのままで良いのか。
品質の面でも、財源の面でも。
誰も明確なこたえをもっていないのではないか。
今日の場をその手がかりにしたい。
まずは西村先生、オーバービューをお願いします。

●西村氏
オーバービューということで5つの観点を話したい。
1.ケアの継続性。生涯の継続性。24時間切れ目なくという意味の継続性。
以前は在宅復帰すべきだと考えていた。
今は在宅ときどき施設というあり方も考えられるのでは、と思うようになった
2.ターミナルケアについて
以前は人生観・宗教観と絡めないとターミナルケアを語ってはならないと思っていた。
今は人生観・宗教観は考えるべき視点のひとつだととらえている。
3.多世代共生の観点
4.入れ物とは違う「住まい方」について
私は「夢のマイホーム」世代。
がんばって人に侵入されないプライバシーを守る建築を求めた。
今、果たしてそのあり方が理想的かどうか。
5.地域とは何か。
都市間という意味でも、お隣同士という意味でも。

【第1部 医療と介護】
はじめに秋山氏、宇都宮氏、加藤氏がプレゼン。
その後ディスカッションが行われました。

●秋山氏
キーワードは「つながる、支える、つくりだす」
ずっと個別ケアに終始してきた
しかし、予防にシフトせねばと考え始めている
自分の力を取り戻す支援の在り方とは?

たとえば「当事者が壇上にあがるシンポジウム」を行った
サービスを受けてどうなったかを本人が語る

「つくりだす」ためには情報発信が必要。
それが地域を耕すことにつながる。

多職種による具体的な連携が必要
そのためにはフラットな関係でのディスカッションがいる

これまでとは違う高齢者像の人が高齢者になる。
その人たちの力をどうやって活かしていくか。

●宇都宮氏
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京都からきました。退院支援を行っています。
訪問看護をして「患者さんやないなぁ、生活者なんやなぁ」と感じた。
2000年ケアマネができて「これで退院して暮らせる日本になれる」と思った。
しかし現状はまだまだ。
退院支援は人生の再構築。

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以前は移行支援コーディネートをすればなんとかなると思っていた。
しかし、意思決定支援が必要だと気づいた。
当事者自身が、自分の体に起きていることを知り、つらいけど、苦しいけど、
「それでも自分はどう生きたい?」を考えてもらう。
「ほんまに入院がええんか?」
病院の中には「ベッド空いているし入れたらええやんか」と考えるところもないわけではない
でも、その入院で自宅に戻れなくなる可能性もある。

●加藤氏
認知症は原因のある病気
困っていることがわかりにくいことが問題のひとつ
病気に起因する行動を「認知症」だと思っていませんか?
原因→症状→行動という構造
原因は医師や製薬会社が対応する。
今までの介護は行動に対応してきた。
結果、支配や管理。

アセスメントをとってもそれを見やしないで折り紙折ってた。
「困っていない」という状況をいかにつくれるか
僕(加藤)がお茶を入れたら業務になる。
おばあちゃんが入れたら自立支援。

ヘモグロビンの値が4の方がいた(数値上貧血)
医師は「医師として入院すべきだ」と言った
あおいけあは「入院すべきか」と問うた
このケースでは、入院せず、ヘモグロビンの値は後日戻った

介護職であっても医療職に対等に物が言えるようにする

「お年寄りに楽しんでもらう」
のではなく
「お年寄りが(地域に)楽しんでもらう」

●宇都宮氏
入院したら病院に任せてしまっている。
「どうなっているの」と病院にいえることが大事
帰ってくるのを待っているのではアカンよね

家族でずっと介護していたケースでは、入院しても「奪還する」という意識がある
救急搬送されたケースではそのままになりやすいのでは。

●森田氏
夕張では171床あった病床が19床になった。
19床は満床になったか。
実は5~6床しか入らなかった
入院できないからではなく、入院したい人がいなかった

産業革命以降、業務は細分化された
全体を見られる人がいなくなった
私たちも一緒。
「ここから先は医療」
「心臓は俺の領域」
どうやったら分業のあたまを変えられるか

●加藤氏
あおいけあでは最近「やりたいことをやりきって亡くなる」パターンが増えている

施設の中のことは「労働」
全体のことは「仕事」
領域をはみ出している人が先駆者になっているのではないか

●秋山氏

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亡くなった方のケースについて、関係者がリレー形式で事例研究をしている
それぞれの想いを知ることができる
地域をつくることにつながる

●浅川氏
病院は災害時の避難所みたいなもの
そこに引きずり込まれないようにすべき
さんざん「訪看に連絡して」と言っても夜中のひきつけで救急車を呼んでしまうことがある

「病院にいったらもう関われない」という
制度で行けなくても人情で行けばよいではないか

●西村氏
だいたい入院させたいのは奥さん
できない男のケアをどうするか
あと、妻は夫が亡くなってから15年くらい生きる
その間のケアをどうするか

●佐々木氏
入院させない方が良いのではと誰もが思うシチュエーションでも入院してしまうことがある
結果人生がくるう。このようなケースの入院をいかに防ぐかが重要ではないか。

【第2部 施設か在宅か】
はじめに小川氏、下河原氏、浅川氏からプレゼン。
その後ディスカッションでした。

●小川氏
元住宅メーカー
一貫して住宅供給の立場だった
特養は今のままならいらない?
続けるとしたらどうすべきか、という立場で考える

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2015年のモデル
特養はユニットになり、サ付と小規模多機能が活躍

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特養が残るとしたら地域の拠点になるべき
下河原さんや加藤さんがいっぱいでてきたら特養のミッションはなくなるかも?

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特養は稼動96%でも赤字
加算をとってやっと黒字
看取り(加算がある)までいかに持ち込むか
看取りにもっていって総コストを下げる(厚労省の)もくろみもある
また、たまったお金は利益ではなく繰越金にすべきという話がある
地域に貢献するために使うことが求められる

●下河原氏
建築の力を信じている
住みたいと思える施設が少なかった
認知症になると、感情をつかさどる偏桃体が敏感になる

先ほどまでの高齢者の話
すごくまじめで大変だなぁと思った
楽しさもあると良いと思う
心が動けば身体も動く

銀木犀では管理は一切やめた
なんでもありという状況
入居者が人から感謝されるようにする

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サ高住の看取り率が平均18%なのに対して銀木犀の看取り率は76%。

●浅川氏

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高島平に分散型のサービス付高齢者向け住宅がある

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高齢化率51%の地域
空き家もある。
その空き家をサ付きの部屋にした
スタッフは空き店舗になりがちな商店街の中にいる

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分散型サ付はまだ高島平にしかない
ほかでもやれば、住民は遠くの老人ホームに行かなくて済む

サ高住に介護、看護、診療の3つがあれば
施設や病院はいらないのではないか

●佐々木氏
施設という言葉の使い方をまず考える必要がある
サ付も特養も「施設」という表現ができる
一方特養の利用者が特養を「自分の住まい」と認識しているケースもあった
施設が在宅に近づいている
たしかに高齢になってからの引っ越しは一般的にダメージが大きい
しかし管理ではなくサポートがあれば「在宅」になれる

自宅でその人らしい暮らしを継続できそうなケースは多い
しかし、重くなると多くの人(家族?)は入居を選ぶ
悠翔会でも年間400人程度、入居に伴ってサービス提供がおわる

●加藤氏
認知症重度でも独居の方は在宅生活を続けている
一方家族がいると、家族のストレスで入居になる
「施設入れます」「病院入れます」
自宅に近い環境への住み替えは良いと思う
同時に家族も含めて支える仕組みが必要
「もう無理」になってから助けるのか
日ごろから関係をつくっておくか
責任や覚悟をどこまで持てるかということ

●宇都宮氏
「入口問題」と呼ぶ問題がある
そもそも診断までいかない
サービスにつながらず、へろへろになってから突然施設

●下河原氏
何度も同じ話を聞く家族のいらいらは察しうる
自宅でのBPSD悪化を防ぐにはどうしたらよいか

●佐々木氏
フェイスブックで認知症のことを投稿したら
「仕事としてはできるけど家族としては難しい」
という介護のプロの方がいた
それだけむずかしいのでは

●浅川氏
基本、家族の人はみられない
良いときを見ているからギャップに耐えられない
メディアは美談仕立てが多すぎる
初期のころに家族が(施設入居を)決めてしまう
入ったらなかなか出られない
サジェスチョンは家族がしても良いが決めるのは本人であるべき

●佐々木氏
特養の配置医をやって「特養でもすごしやすい雰囲気のところがある」と思った
カテゴリではなく気持ち次第で管理の「施設」ではなく「自宅」になるのでは。

【第3部 地域とは何か】
はじめに森田氏、田中氏、浅川氏がプレゼン。
その後ディスカッションでした。

●森田氏
夕張。札幌から60キロ。
東京駅からの距離で考えると神奈川県の三浦市あたり。
かつては人口12万人。今は1万人もいない。
若い人はいなくなった。年金があって食べていける高齢者が残った。
高齢化率は48%。
2009年に財政破綻し、病床数は171から19になった。

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75歳以上の人口は増えているにも関わらず救急車の出動回数は減った

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市内特養での看取り率は100%になった。

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高齢者一人あたりの医療費は北海道平均が増えているにも関わらず夕張では減った

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大事なのは住民の意識ではないか

●田中氏

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地域包括ケアの目的は、リロケーションダメージを発生させず
地域で暮らし続けられるようにすること

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桑名市で行ったことの柱は3つ

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施設機能の地域展開

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身近な地域での多様な資源の見える化・創出

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他職種協働によるケアマネジメントの充実

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結果桑名市では要介護認定率が減った

●浅川氏

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樹木希林の広告「死ぬときぐらい 好きにさせてよ」
日本は8割病院で亡くなる。ヨーロッパは5割、オランダは3割。

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デンマークの3原則
1自己決定の尊重→本人第一
2残存能力の活用→自助努力
3生活の継続性→そのままの暮らし

日本の介護保険は2しかやっていないのではないか。
もともと老人福祉法には、第3条に「老人は仕事しなさい」と書いてある

第三条  老人は、老齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、又は、その知識と経験を活用して、社会的活動に参加するように努めるものとする。
2  老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参加する機会を与えられるものとする。


介護保険は「どうサービスを届けるべきか」という仕組みの法律
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●佐々木氏
自立支援のむずかしさがある
果たして要介護度がよくなれば良いのか
「自立支援」の公式が通用しないときにどうするのか

●加藤氏
自立支援の先が重要なのではないか
なんのためなのか
良くなったのに在宅続けられなかったら意味がない
特養がどう、サ高住がどうということではなく、それを使って行うことが重要
とはいえ「必要だから特養をつくる」という考えで子どもや孫に顔向けできるか

●田中氏
補足として、自立支援には二つの意味があると考えている
軽度の方には要介護度の改善、重度の方には可能な限り幸せに生きること

●西村氏
浅川さんはサンダース、自立支援の考えはトランプに近い。
自立は大事だが、簡単ではない。自分の実感としても。
自分のこととしても大往生を考えていきたい
あと、祭りをぜひやってほしい

●浅川氏
祭りに賛成。祭りは社会参加である。
今の介護保険は自立支援一辺倒。
悪くなったら本人の責任。ちゃんと食べて元気になろう。
90歳の人がボタンをとめられて、横断歩道を間に合うように渡れて。
そのことにどれだけの意味があるのか。
今の厚労省が自立支援で狙っているのは財源確保ではないか。
財源がない中で良いサービスをするには介護保険の卒業を言うしかない。

●佐々木氏
自立支援が目的化していないか。
筋トレしても行くところがないようでは(意味がない)。
生きるために生きているわけではない。

●森田氏
医療はニーズによってではなく、シーズによって提供される
不要な医療やケアを提供していないか

●佐々木氏
SNSで自己負担が増える話題が出ると
ワッと批判が起こる
しかし、現実をふまえて皆で考えるべきでは

【質疑応答】

●藤沢のPTさん
「何のために」が欠落していることに共感。
一番目的を失っているのが現場ではないか。
制度の中で、お上のことばかり見て、高齢者の声をきいていない。

●浅川氏
施設、病院に連れていくのは往々にして家族。
元気なときから20年たったらどうしたい?ときいておくべきでは

●訪問看護関係者の方
今日は「利用者にどう提供していくか」が中心だった
けれど家族のことも議論すべきではないか
家族ケアはどうあるべきか

●佐々木氏
家族にケアをがんばれというのが家族ケアなのか
家族をケアから離すのが家族ケアなのか
支援が必要な家族ほど支援を求めない現状がある

●下河原氏
サ高住を活用してほしい。賃貸だから嫌だったら出られる。
美味しいところだけを使って。
看取りの時だけ利用してもよいし、
看取りの時だけ帰っても良い。
それから(現在下河原氏が取り組んでいる)VRもありだと思う。
「何回万年筆をなくすの!」
家族として強くは言っていないつもりでも強くきこえてしまっていることがある。

【町学長の総括】

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家族を置き去りにしてほしくない
私たちは介護をする側にもされる側にもなる
必ずどちらかの立場になる
1990年~1999年。片麻痺、末期がんの母を在宅で看取った。
20年前に自分ができたことがなぜ今もできないのか。
これだけの専門職がいて機能しないのはなぜ?
キーワードは秋山さんが指摘した「つながり」に尽きるのでは。
会場にいる600人は情報を得た。しかし外にいる人は情報にアクセスできていない。
つなげる人が必要。
一般の人は「病院から在宅にどうしたら戻れるか」わかっていない。

それから、場所ではなく人。
今日話を聞いて「さんざんいろんな施設をつくって分散型サ付かよ」という思い。
先ほどの高島平。分散型サ高住。
住んでいる人は果たしてサ付きに入ったという意識があるのだろうか
同じ団地内のきれいな部屋に引っ越しただけとおもっているのでは

病院神話は終わったのではないか。
本音がはける環境づくりをぜひ行ってもらいたい。
助けてほしい。
本音を吐いても行くところがなかったら困るから。
(ここでの本音とは「在宅で暮らし続けること」だと思われる)

不必要な治療から必要なケアへ。
できないことではなくできることを数える。
大介護時代を地域再構築のチャンスととらえてはどうか。

地域をつくるのが介護の仕事。
未来の子どもが「うまれてよかった」
「この地域でよかった」と思えるように。
そうすることが私たちの責任ではないか。

サ高住に所属する歯科衛生士の仕事とは?

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先日、サービス付高齢者向け住宅(略称サ高住)「銀木犀」を運営する
株式会社シルバーウッド下河原忠道社長の講演を聞き、
そのメモに「事業所を横断して活動する歯科衛生士に驚いた」と書きました。

どうしても実態が知りたかったので、銀木犀所属の常勤歯科衛生士
西尾明美さんにインタビューをしてきました。

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―西尾さん、はじめまして。
本日はお時間をいただきありがとうございます。
白衣をよく見ると・・・、これは歯のイラストですね?


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はい。働き始めたころ、ヘルパーと間違われたことがありました。
私の役割が視覚的に伝わるよう、会社に頼んで購入しました。

―なるほど!さっそく、サービス付高齢者向け住宅で働く歯科衛生士ならではの工夫が見えてきます。
歯科衛生士さんというと、一般的には歯科医院や訪問歯科の所属の方が多い。
西尾さんはサービス付高齢者向け住宅「銀木犀」に所属していますね。
どのような経緯で今に至ったのでしょうか。


9年前に歯科衛生士の資格を取り最初は一般の歯科医院で働きました。
働きながらふと「自分の意思で来院できる方は良いが、
来たくても来られない人はどうしているんだろう」と思いました。
インターネットで「訪問歯科」について調べたところ
訪問歯科・就労セミナーがあったので参加しました。

セミナーで一日の流れや働き方を見て「やってみたい」と思ったので転職を決めました
訪問歯科では在宅・特養・病院・グループホーム・老健・サ高住。
いろいろなところにいらっしゃる高齢者の方の口腔ケアをしました。

働いて、訪問歯科でお会いする方の口腔内が
一般の歯科を受診される方とあまりにも違うことに驚きました。
そもそも施設の衛生状態がわるかったり、
口腔ケアをきちんと受けているとはとても言えない方がいたりしました。
ただ、忙しそうに働いている施設の職員さんに
「もう少し丁寧にやってください」とは言えませんでした。

また、訪問歯科は利用すれば費用がかかります。
そのため本当は毎週口腔ケアをした方がよくても
月1回しかできない方がいました。ジレンマでした。

―なるほど。あるべき姿と異なる現状があったのですね。

はい。そんなときに銀木犀の話を知りました。
「サービス付高齢者向け住宅で歯科衛生士を雇って誤嚥性肺炎を予防する」
募集を見て、とても興味深いと思いました。
すぐに銀木犀「薬園台」に見学にいきました。

―それで、今に至るのですね。
では、現在の仕事内容について教えていただけますか?


今は銀木犀「西新井大師」に週2日、
のこりの日は「錦糸町」、「川崎」、「東砂」をまわっています。
2016年12月には「浦安」がオープンするので、
その後は「浦安」にも行く予定です。

1日の仕事は「介入したい入居者様に、口腔ケアを受ける時間があるかどうか」
「その日、特にケアが必要な方がいるかどうか」の把握から始まります。
銀木犀は住宅なので、私がいる日に外出やデイサービスに行く方もいます。
そうすると「ケアに入ろうと思ってもいらっしゃらない」ということになります。
また、往診の予定があればそちらが優先されます。
この場合は、往診と重ならない時間にする必要があります。

―なるほど。予定の確認から始まるのですね。
西尾さんによる口腔ケアは全員に行っているのですか?


声は入居者様全員にかけますが、介入は現時点で訪問歯科や歯科医を利用していない方を
優先しています。
私が銀木犀に入った2016年4月の時点で、訪問歯科を利用している方は8名いました。
そういった方々は定期的に歯科医や歯科衛生士が入っています。
プロの介入があれば、状態が極端にわるくなっているとは考えにくい。
なので、訪問歯科を利用していない方を優先してみるようにしました。
銀木犀に入って最初の仕事は、サービス提供責任者に
「どなたに訪問歯科が入っているかをたずねること」でした。

―具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか。

口腔内の状態を確認したり、実際に口腔ケアを行ったり、
義歯(入れ歯)を使用している方はその破損や衛生状態をみたり、
歯科治療が必要な方を歯科医につないだりしています。
2016年11月現在、定期的に訪問歯科を利用している方は14名になりました。

ある入居者様は傾眠がちで、口の中を見ると食物残渣(しょくもつざんさ:食べかすのこと)
だらけでした。傾眠がちであるがゆえに食べ物を飲み込めていなかったんです。
その方は刻み食だったので、家族に頼んでとろみをつけられるようにしました。
その際、口の中にたまっていた食物残渣を写真に撮り、実態がわかるようにしました。
ほかにもその入居者様が食事をしやすくする工夫も行いました。
起きていきなり食事をとるのは難しいですよね。
食事前にアイスマッサージを行って唾液を出やすくしたり、
飲み込める量を考えてスプーンの大きさを見直したりしました。
私は毎日同じ事業所にいるわけではありません。
ケアの方法をケアマネや介護スタッフに伝えることもしました。
結果、口腔内食渣はなくなりました。以前は話しかけても目を閉じていることが多かったのですがが
目が開き、ときどきは会話もできるようになりました。
薬を変更したことも、効果があったと思います。

またある入居者様は、部分入れ歯をしたまま歯磨きをしていました。
そのため、入れ歯をひっかけるところに虫歯ができていました。
痛みは出ていなかったようですが、歯茎がぶよぶよになっていたり、
歯石がついていたりしました。
そこで、訪問歯科につなげて歯科治療を行うようにしました。
毎週誰かに口の中を見られることがきっかけになったのか、
その方は毎日ご自身で歯みがきをするようになりました。
ぶよぶよだった歯茎はひきしまって、きれいなピンク色にかわりました。
「○○さん、歯磨き上手になりましたね」と
歯科医と私でたたえました。
褒められたことが嬉しかったようで、その方は今もすすんで歯磨きをなさっています。

入居者様の体力的、費用的負担をできるだけ少なくするのも仕事のひとつです。
たとえば「ちょっと歯が痛むのだけど」というとき。
歯医者さんに行ったり訪問歯科を利用したりするとその時点で費用が発生します。
抜歯などの治療をすれば体力も消耗します。
私の目から見て必ずしもリスクが大きくないときは
「様子を見る」という選択肢も提示できます。
たとえば歯ぐきが腫れて痛みが生じている場合、
丁寧に歯磨きをすることで改善することがあります。

―現時点で歯科医の介入がないけれどもリスクがある方をみつけて動く。
大切な仕事ですね。でも、最初から口の中を見せてもらえるわけではないですよね?


もちろんです。
銀木犀は住宅なので、介入はお部屋をノックするところから始まります。
突然「歯の様子を見に来た」とお伝えしても
「歯磨きできています。何も問題ありません。」と言われてしまいます。

拒む方の口の中を強引に見ることはしません。
まずは信頼関係を築く必要があります。
天気の話、身体の調子、銀木犀での食事の話をしたり、
ときには一緒にテレビを見たりもします。そんなことから関わりを始めます。

―なるほど。そうなると、場合によっては、リスクがあるのに
いつまでも介入できない、なんてことはありませんか?


たしかに信頼関係ができるまで時間がかかるケースはあります。
「今日も断られるのだろうなぁ」と思ってしまうことも。
けれど、そう思ったら負けです。
「できないかもしれないけど行く」というスタンスで訪ねます。

「医療行為だからやってあげている」ではだめだと思います。
勝手に入居者様の自宅を訪ねて貴重な時間を割いてもらっている。
その時点でこちらが「ありがとうございます」なのです。
実際、お部屋をあとにするときは「ありがとうございました」とお伝えしています。

―まるでやり手の営業マンのような関わり方ですね。

モノは売りませんけどね(笑)

―このようなスタンスは、銀木犀に入った当初からできていたのですか?

いえいえ。実は、最初はたくさん介入しなければと思っていたんです。
訪問歯科時代は1日最大40人に口腔ケアを行っていました。
そのときと同じ感覚で仕事をしようとしていました。
何人もの方に介入していかないとなまけているのでは。
そう思って仕事をしていました。

けれどもそれではうまくいきませんでした。
挨拶をして「何か困っていることはないですか?」「何かあったら教えてください」と
聞くだけでは何も進まなかったんです。

それで、お一人お一人じっくり接するようにしました。
今では多くて1日15~16人。
介入時間の長い方、短い方がいますが、1人あたり20分くらいはかけています。

時間をかけることで、入居者様の好きな食べ物を教えていただいたり、
趣味やお仕事をされていた頃の話をお聞きしたり。
生活でお困りのことをきいたときには
ケアマネジャー、所長、サービス提供責任者に情報を伝えたり
職員の連絡ノートにメモを残したり。
訪問歯科時代にはできなかったことができています。

―銀木犀に入ってわずか半年の間に、ひとつひとつノウハウをつくってこられたのですね。
そういえば、サ高住側に歯科衛生士がいると訪問歯科の人にとって
かえってやりづらいなんてことはないのでしょうか?


たしかに、処置のときに同業者が横で見ているとやりづらいかもしれませんね(笑)
けれど私としては、むしろ連携しやすくなるように考えて動いています。
たとえば入居者様の「入れ歯がかみにくい」という声を受けて歯科医につなげられます。
歯科の知識があるからこそわかる変化に気づくこともできます。

ただ、すでに入居者様と歯科医との間に信頼関係ができている場合はあまり深く介入しません。
歯科医からの情報と私からの情報が違うと混乱させてしまうので。

―なるほど。入居者様を訪問歯科につなぐ立場として
「こんな訪問歯科がいい」という要素はありますか?


前提として社長の下河原から「西尾さんが歯医者さんを提案してもいいよ」と言われています。
これがとてもありがたいです。
そのうえで私は、以下3つが大事だと思っています。

1つめは、入居者様の気持ちをくみとってくれる先生かどうか。
たとえ歯の状態がわるくても、ご本人は「本当は抜きたくない」と思っているケースがあります。
そういったときに、本人の気持ちを尊重してくれるかどうかです。
たたみかけるように説明したり、威圧したりする先生は避けたいです。
診察や治療をとおして入居者様の気持ちを穏やかにしてもらえるといいですね。

2つめは、無料検診ができるところか。
費用がかかる場合、その根拠を家族様に説明する必要があります。
治療をお願いする段階でいきなり費用が発生するとつなぎにくいです。
無料検診があると、その内容を受けて家族様に説明ができます。

3つめは、急患対応が可能かどうか。
たとえば入れ歯を修理したとき。
不具合がないかもちろんその場で確認します。
ただ、実際の食事ではかむだけでなくすりつぶす動きもあります。
そこで初めて痛みが出るケースがある。
そんなとき、すぐに来てもらえると良いですが、
翌週まで来れないとなるときびしい。
いつでもすぐに来てほしいというわけではありませんが、
急患を一切受けない訪問歯科さんは頼みづらいです。

その点、現在入っている訪問歯科さんはすごく良いです。
銀木犀「錦糸町」で出会った方です。
私が錦糸町に行ったとき、歯科医の先生が入居者様の手をとり、歌いながら誘導していました。
「こんなにやさしい先生がいるんだ!」と感動しました。
それで、西新井大師にも来てほしいと頼みました。
残念ながらその先生は来られなかったのですが、同じ歯科医院の違う先生がきてくれました。
その先生もとても丁寧で大人気です。
まだかかっていない入居者様が「私も何かあったらその先生に」と仰るほど。
先ほどお話した無料検診をしてくださっていますし、
急患対応も「できる」とのことで助かっています。

―なるほど。詳しくありがとうございます。
銀木犀の歯科衛生士さんは複数名いらっしゃいますよね?
あと何名かいるのでしょうか。


常勤の私のほかに、非常勤の歯科衛生士が2名います。
一人は「市川」と「鎌ヶ谷」をみています。
もう一人は「薬園台」。「西新井大師」ができたばかりのときは、
私がまだいなかったので、「薬園台」の歯科衛生士が来ていました。
入居者様の口腔内の情報を残してくれていて、それがとても助かりました。

―歯科衛生士さんが3名。銀木犀全体の職員数からみたら少数ですよね。
少数職種だからこそ心がけていることはありますか?


職員さんに感謝を伝えることも心がけています。
「○○さん、口の中が、とてもきれいになりましたね!」
「□□さんは最近どうですか?」
こういったやり取りからコミュニケーションをとっています。

以前、私だけで訪問してもうまくいかなかったとき、
職員の方と一緒に行くと安心していただけて、居室に入れたことがありました。
チームで動く大切さを感じました。

それから銀木犀では新入職員が入ると2時間の口腔ケア研修を行っています。
1時間は私からの基礎的な座学。
もう1時間は訪問診療・サポートを行っている
デンタルサポート株式会社さんの講師(歯科衛生士)に来てもらっています。
話がとてもおもしろくて、歯科衛生士仲間から「師匠」と呼ばれている方です。

―なるほど、会社全体で口腔ケアの意識を高めているのですね。
銀木犀のほかの歯科衛生士さんとの情報共有はあるのでしょうか。


メールでときどき情報交換をしています。
「体調どう?」とか。
みている事業所が違うのでふだんはなかなか顔をあわせる機会がありません。
「年内には一度会いたいね」という話をしています(取材時2016年11月)。

―なるほど。歯科衛生士とだけではなく、様々な職種の方と
力をあわせて働いていることが伝わってきます。
最後に、西尾さんの今後の展望を教えていただけますか?


考えていることは2つあります。
ひとつは12月に新しくできる浦安の銀木犀での介入です。
私が銀木犀に入って初めてオープンする事業所です。
入居の段階で全員の方に訪問歯科の無料検診を受けていただき、
現在の口腔内や義歯の状態をご本人様とご家族様に知っていただく。
そのうえで治療が必要な方、経過観察で良い方、お一人おひとりの状態に合わせた
ベストなサポートに力をつくします。

もうひとつはリハビリとの連携。
銀木犀には理学療法士もいます。
今後連携して、口腔のリハビリテーションに取り組みたいです。
「口の機能低下」といっても舌に問題があるのか、
口の周りにある口輪筋の問題なのかによって
行うべきリハビリが異なります。
その際かたくるしく行うのではなく、あそんでいるようなことが
いつのまにかリハビリになっているようにしたいです。

―西尾さん、本日は詳しいお話ほんとうにありがとうございました!

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いかがでしたでしょうか。全国の歯科衛生士さん、歯科医師さんにとってだけでなく、
介護事業所の職員、管理者さんにも参考になるお話だったと思います。

また、リリムジカのように多事業所をまわってはたらくタイプの仕事を
する人にとっても参考になったのではないでしょうか。

リリムジカのミュージックファシリテーターの場合、所属が介護事業所ではないので難しいかもしれませんが、
もし事業所の職員ノートにコメントを残せるようになったらとても良いと思いました。

これから団塊の世代の方が後期高齢者になる時代がやってきます。
今まで以上に限られたリソースで多くの方をケアせねばなりません。

高齢者が長く元気で幸せに生きられるようにするために、予防的介入は欠かせません。
リリムジカも西尾さんの働き方を参考に、仕事をしていきたいと思います。