市場開拓の尖兵もいれば、じっくり攻め入る人もいる

4年間大学で音楽療法を学んだ後、特別支援学校の教員になった方にお話を伺った。
彼女は大学卒業時、自分の知識や能力を冷静に分析した。結果「まずは生計を立て
つつ音楽療法と関連ある仕事をすべき」と考え、教員の道を選んだ。「将来はやはり
音楽療法の仕事がしたい。だから、今は現場で勉強している。」と話す。

全うな考えだと思う。なぜなら、大学時代の勉強だけで音楽療法士として生計を
立てることは非常に困難だからだ。大抵の人の場合、経験や能力が十分ではない
だろうし、卒業時で既に持っている現場も少ない。

と言いながら、我々の場合は音楽療法の道を突き進んでいる。誰かが市場を
創っていかなければならないからだ。市場開拓の尖兵もいれば、あとからじっくり
攻め入る人もいる、というわけだ。要は役割分担が必要なのであって、各々が各々の
やり方で業界を盛り上げていくべきなのだ。

ちなみに、今日は保護者の方にもお話を伺った。インタビューのダブルヘッダーだ。
一度別の仕事をしてから音楽療法士になろうとする人がいる。これはこれで、理解できる。一方我々は、音楽療法の道を突き進んでいる。これは、誰かが市場を創っていかなければならないからだ。市場開拓の尖兵もいれば、あとからじっくり攻め入る人もいる、ということ。要は役割分担が必要なのであって、各々が各々のやり方で業界を盛り上げていくべきなのだ。

学校では教えてもらえない現場の開拓の仕方

大学で一生懸命音楽療法を勉強したものの、音楽療法だけで本当に
食べていく思うと躊躇してしまう。その原因の一つは、どうすれば
自分の現場が開拓できるかイメージがわかないことだろう。実際私が
会ってきた何人かの音楽療法学科卒の人たちは、就職活動の際に
ひととおりの施設を回るものの、そこで音楽療法の求人がないことを
悟り、教員や一般介護職についていた。自分で開業する人は稀だ。

しかし、求人がなくたって、自分で現場を開拓することはできるかも
しれない。そんな勇気をくれるのが、この音楽療法士3つのオキテだ。
内容は、現場における具体的かつ実践的なアドバイスに満ちている。
イメージを想起させる文章表現も巧みだ。音楽療法学科卒でない
私でさえ、この本どおりに活動すればこの仕事で食べていけるのでは
ないか、と思えてくる。

たとえば「職場での他職種の人との関係作り」という項。ここでは医師や看護士、
理学療法士だけでなく現場の全ての人と、良好な人間関係を築くべきだと説かれている。

事務方の職員、栄養士、調理師、清掃、警備の仕事を行う人たちも、音楽療法士と
共に仕事をする他職種の人たちである。こうした職種の人が、対象者への暖かい、
自然な良い感じの働きかけを行っていることも、けっこうある。これらの他職種の
人たちとも、仲良くなっておく方が良い。(14ページ)

こんな内容、私が今まで見てきた音楽療法の教科書には載っていなかった。

机上で勉強しているだけだと見えにくい、保護者の視点が描かれているのも有難い。

保護者の中には、音楽療法に対するはっきりしたニーズを持っていない人もいる。
そういう人には、最初の時点では、ニーズを言ってくれるように迫らない方がよい。
親の側が、何か追い詰められているように感じて、音楽療法をドロップ・アウトする
危険性があるからだ。(64ページ)

「保護者には常に何かしら要望があって、それさえ汲み取ってセッションを行えば喜んで
もらえるに違いない」という安易な誤解を、よく戒めている。人間はそんなに単純ではない。

こんな風に、実践的なアドバイスが得られるのは有難い。しかしこの本の中で何より
素晴らしいのは、音楽療法士がもつべき精神性について、前向きで力強い定義が
なされていることだ。

本書をここまで読んできて、「音楽療法士はそんなにまで、『耐え難きを耐え、忍び
難きを忍ぶ』必要があるのか?」と思った人もいるだろうが、私はそんなことを言い
たいわけではない。上司や他職種の人に対して、へりくだって奴隷のようにふる
まえ、と言いたいのでもない。むしろその逆である。音楽療法士はプロフェッショナル
としての誇りを持つべきだ。ただ、その誇りは「しなやかな誇り」でありたい。(50ページ)

これからの音楽療法士は、既存の職場での仕事をきっちりする一方で、新たな
領域、新たな仕事の方法を創造することが求められている。「安定した職場がない」
ことを嘆くのではなく、安定した職場を自分の力と才覚で創り上げていくバイタリ
ティを持とうではないか。(138ページ)

既存のシステムの中で与えられた仕事をするだけならば、それはさして重要なことでも
ないし、取り立てて言及すべきことでもない。しかし、自己を厳しく律しつつ、フロンティア
精神をもって未知に飛び込んでいくならば、そこには至上の価値がある。そんな音楽
療法士のあり方は大いに推奨されるべきだ。この本は、実は私が音楽療法の業界を
盛り上げたいと思ったきっかけになった一冊だったりもする。

音楽療法士3つのオキテ―音楽療法士、音楽療法士を目指す人の実践ハンドブック
学校で音楽療法を勉強したが、途中で別の道についてしまう原因の多くは、「自分が本当に音楽療法士として生きていく」というイメージがわかないからだろう。実践家でありつつ多くの大学で教壇に立っている二俣 泉氏の「音楽療法士 3つのオキテ」は、私達に鮮やかなイメージとこの世界に飛び込むための勇気を与えてくれる。

施設で音楽活動をするのは、職員さんにとって手間なのか?

最近、高齢者施設の方や障がい者施設の方に、ヒアリングを重ねている。
「施設で音楽活動をするのって、正直どうですか?」というような内容。

導入していない施設から返ってくる答えは「良いとは思うんだけど、いざ導入すると
なると手間がね」。しかし、実際に導入してうまくいっているところの話を聞くと、
「利用者さんだけでなく職員にとってもよいこと。なぜなら日常で見られない
利用者さんの楽しそうな姿を見ることができるから。」という話が出る。

やれば良いはずなのに、なぜやらないのか?

これには「面倒くさそう」という先入観があるように思う。確かにいざやろうとなると、
場所を確保したり、職員さんに対応をしてもらったり手間はかかる。しかし、それを
乗り越えてやってみれば、施設活性化のきっかけにだってなり得る。
(もちろん質の高い活動を提供してこその話。やれば良いというものではない)

先入観を取り払って「まず一回やりましょう」の段階に持っていくためには、施設の方が
イメージを沸かせやすいよう、写真を出したり過去の成果を話したりする必要がある。

大前研一も、先入観を捨てた世界には楽しい発見が待っていると言っている。
施設の利用者はもちろん、施設職員の方をもそんな世界にいざなっていこうではないか。
施設に音楽活動を導入する際の壁は「なんだかめんどくさそう」と思われていること。何が具体的に手間なのか、もしやってみたらどうなるのか、これを具体的にイメージできるような営業が必要だ。

音楽療法士も「起業する」くらいの気構えが必要な気がします

24時間テレビのTシャツデザインやルイ・ヴィトンとのコラボレーション
で知られる現代美術家、村上 隆。彼の芸術観の一部を描いたのが
この「芸術起業論」である。

「芸術で起業?まさか!」と思って手を引っ込めるのは早計だ。

これは芸術の世界(ドンピシャではないが音楽療法の世界も含む)で
生きていこうとする人がぜひお読むべき一冊。なぜならば、
芸術家(または音楽療法士)が社会を生きていくために、一度は
向き合わなければならないことが書かれているから。

それも、ぱっと見では、目を背けたくなる話。

業界の構造を知らなければ生き残れない。(61ページ)
世界で評価されない作品は、意味がない。(80ページ)
展覧会を成功させるには根まわしが要る。(172ページ)

こんな、「夢のない話」が本書では延々続く。しかし、目を背けてはならないのだ。

作品の梱包発送のためにコンビニでダンボールをもらって活動をしていた
貧乏芸術家が、ニューヨークで文化芸術賞を受賞するに至った。

その背景には、彼が臆することなく外の世界に向き合い続けてきたことがある。

「何があっても作品を作り続けたいなら、お金を儲けて生き残らなければならないのです。」

この本には、自分の中に向かって篭りがちな私達の思考を外向きに
グイッとひねってくれるパワーがある。(でも表紙の写真は怖すぎる)
村上隆の「芸術起業論」は「音楽で起業?まさか!」という芸術関係者にこと読んでいただきたい一冊。なぜなら、芸術家がどうしても避けて通れない、しかしあまり語りたくない話題について余すところなく書かれているから。

ワンコイン検診

先日、NEC社会起業塾でご一緒しているケアプロさんのお店におじゃましてきました。

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ケアプロは500円から手軽に健康診断ができるサービスを提供している企業。
日経新聞やテレビ「ワイドスクランブル」にも登場しており、認知度急上昇中です。
写真左が社長の川添さん。

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採血をして、血糖値・総コレステロール・中性脂肪の値をチェックします。
終った後は血をふいてもらいます。

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噂の(?)血液チェッカー。

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ケアプロには全国からお客さまが見えています。
中野にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

ケアプロ株式会社
川添さんのブログ
店長浅井さんのブログ
ワンコイン検診で認知度急上昇中のケアプロさんにおじゃましてきました。