放課後等デイサービスを運営している方、介護保険事業以外の事業を探している方へ

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今日は、浦安市などで児童発達支援事業所「こころとことばの教室 こっこ」を
5か所運営している発達わんぱく会さんの児童発達支援事業所開設セミナーに参加してきました。

「児童発達支援事業所」という言葉を聞いたことがありますか?
障害のある未就学の子どもが発達支援を受けられる施設のことです。
昨今、就学児以上向けの放課後等デイサービスは激増していますが、
実は児童発達支援事業所の数はその半分もありません。
発達障害のある未就学児のうち、児童発達支援サービスを
利用している子どもはわずか8.5%です。

わんぱく会の理事長、小田さんのセミナーがとても勉強になったので、
内容の中で印象に残った点をご紹介します。

・幼児期に適切な療育を行うことは社会的に投資になる。
・なぜか。適切な療育によってその人らしい人生を生きられる人が増える。
それは労働人口の増大や社会保障費の減少につながるから。

・児童発達支援事業の自己負担額は利用料金の1割。
・利用者の金銭的な負担少なく、質の高いサービスが提供できる。
・児童発達支援事業の単価は放課後等デイサービスの1.2倍。
・児童発達支援事業で「預かり」を提供することもできるが
「療育」を提供することがおすすめ(発達わんぱく会は療育特化)
・療育特化の児童発達支援事業はまだまだ少ないので、
開設してから早期で定員になる可能性が高い。
・わんぱく会のコンサル先でも、6か月想定のところ
3~4か月で定員になったケースがある。

・事業所はなるべく1階につくる。地域に開放するため。
療育だけでなく、発達障害のある人にとって生きやすいまちづくりがしたいから。
・事業所を午前中、地域に開放する。その中で気になる子どもとつながる。
・地域のお母さんたちは、福祉の施設だと思わず教室の開放を利用している。
(看板に「こころとことばの教室」とあるので幼児向けの塾だと思っているのでは、と小田さん)

・1事業所最低3人で開設できる
・内訳は管理者、児童発達支援管理責任者=じはつかん、指導員2名:管理者と兼務可
・「こっこ」では常勤換算で1日あたり6名のスタッフが勤務。45分の療育を4コマ実施。
・療育は「個別」、「音と色」、「グループ(1回2~5名程度)」の3種類
・各コマごとにスタッフチームで振り返りを実施
・預かり型の場合、たとえば6名のスタッフで10名を1日みることになる。
・たとえ療育をうたっていたとしても、預かり型だと
なかなか子ども一人ひとりを見ることは難しい。
・スタッフの勤務時間は8時30分~17時30分でほとんど残業なし
・チームは、資格はあるが経験が浅い人、資格と経験はあるが
勤務時間に制約がある人、スーパーバイザーを組み合わせてつくる
・こっこでは臨床心理士、音楽療法士、臨床発達心理士、
社会福祉士、保育士などの職種がチームを組んでいる
・採用はハローワークと自社ウェブサイトがメイン
・見立て(アセスメント)は簡単ではないが新人チームでも保護者が納得する取り組みはできる

・営業は行政にもするが、行政から利用者を紹介してもらうというよりも、関係づくり
・列ができている児童発達支援事業所に行って、並んでいる人を
紹介してもらう(かつての高齢者デイサービスの状況に近いかも)

・初期投資例は2000万円。27か月程度で回収。
・行政とのつながりを深めるのは結構大変。他地域で同時につながりを深めるのは難しい。
・発達わんぱく会として、直営店を続々と増やしていくことは考えていない。
むしろ各地域に同士を増やす。そのためのコンサル事業。

繰り返しになりますが、小田さんのお話、ほんとうによかったです!
放課後等デイサービスを運営している方、新規事業を探している介護事業者の方は
急いでセミナーに申し込んでください!!

一緒に参加した放課後等デイサービス&高齢者デイサービスを運営している方は、
セミナー後、即コンサルの見積もり依頼をしていました。
私自身も、当初はその気はなかったのですが児童発達支援に何らかの形で携わりたいと思いました。
https://www.facebook.com/wanpaku.org/events

小田さん、素晴らしいセミナーをありがとうございました!

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ほんとうに、施設は自宅に勝てないのか

老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、グループホーム・・・などなど。
自宅で暮らすことが難しくなったお年寄りが自宅を離れて暮らすことがある。

施設職員は、高齢者本人が幸せに暮らすことを願い、介護をする。
けれど、心の底でズシッとした敗北感をおぼえていることがある。

それは何か。
「ほんとうは、自宅で暮らしたいはずだよね・・・」。

たしかに施設に入ったお年寄りが
「帰りたい」
「本当はここにいるはずじゃなかった」
と言うことはある。

しかし、仮に自宅に帰れたとしてそこは本当に本人が幸せになれる場所なのだろうか。
もしかしたら、気持ちが詰まって暴力がちな家族がいるかもしれない。
手は出なくても言葉がキツいかもしれない。

では独居だったら?
独りの寂しさが沁みているかもしれない。
誰とも話さないまま一日すごしているかもしれない。

ほんとうに、施設は自宅に勝てないのか。
今日、ファシリテーターの報告で次のようなものがあった。

以前、交互唱を行った時あまりうまくいかなかったのですが、
皆様がだいぶ慣れたかなと思い、再チャレンジしてみました。
結果は、、、やはりあまりうまくいきませんでした。

私はやはり無理なのかなと少し心が折れてしまったのですが、
職員様がどうしたら出来るようになるか、たくさん提案をしてくださいました。
それは職員様が皆様が出来るということを信じているからだと感じ、
すぐ諦めようとした自分が恥ずかしくなりました。

まず目標を決めれば、そこに到達するまでに
あとはいろいろ試すだけだなと職員様から大切なことを教えていただきました!
頑張ろう!

入居者にとって、この職員との出会いは人生の無駄だったのだろうか。
私は、そうは思わない。
「自分を信じてくれる」あたたかな気持ちをもつ人との出会いは、必ず心を豊かにする。

施設と自宅は、きっと、比べるものではない。
どちらも、人生を幸せにしうるし、不幸にもしうる。

大切なのは、本人が、家族が、職員が、経営者が、
覚悟を決めてどうはたらきかけていくかではないだろうか。

もし目の前の入居者が、今の環境を信じてくれなかったら。
信じてもらえるように手を尽くす。
職場のチームが信じられなくなったら。
信じられるように手を尽くす。

きっと、とてもくるしいことだ。
だけどそれが、私たちが選んだ道なのではなかろうか。

サルコペニアとフレイルの違いとは?

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どちらも最近よく聞くのですが違いがわからなかったので調べてみました。

サルコペニアもフレイルも、要介護状態になる前の段階としてとらえられています。
ただ、定義としてはサルコペニアが主に筋肉量などに着目しているのに対して、フレイルはより広い概念です。
具体的には、フレイルには社会活動をしているか等が入ります。

予防法に関しては、どちらもよく体を動かし、栄養をとり、社会に出ること。
援助者としては、当事者がこれらの活動を自立して行えるようにすることが求められているのではと思います。
詳しい方、補足や訂正などありましたらお願いいたします。

応用行動分析について(日本通所ケア研究会主催セミナー 高橋恵子先生の講義)

日本通所ケア研究会主催セミナー、
午後は応用行動分析のセミナーに参加しました。

グループホームとデイサービスを運営する
有限会社せせらぎの高橋恵子氏が講師です。

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行動分析について好子、嫌子という言葉はなんとなく聞いたことがありました。
実は「人をコントロールするなんて傲慢・・・?」という先入観を持っていました。

でも、実践している人は先入観を超えて!着実に取り組んでいました。

たとえば認知症の初期症状が出ている女性。
最初はデイサービスに通うことが不満だった。
本人らしさを発揮してもらいつつ、
楽しんで人の役に立ってもらうようにしてはどうか。

そこで「代用好子(だいようこうし)」を活用。
そもそも好子は、あることをした結果起きる良いこと。
微笑んだら微笑み返された。おそうじしたらほめらた。
これが好子。その代用。

それ自体は価値がないが、交換可能なもののことを言うそうだ。
このケースではボランティアポイントカードを利用。
デイに通って得意な活動(縫物や調理)を行い
ポイントがたまると外食や旅行ができる。

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結果デイサービスに行くことが楽しみになった。
当初不安だった家族からは「問題だけを伝えるのではなく
頑張ったことを伝えてもらったことが嬉しかった。」とのコメント。

ちなみにポイントの特典が得られる間隔はだんだん広げていく。
行為そのものに喜びを感じるよういしていくそうだ。
これをシェーピングという。(ソーシャルゲームでよくあるやつだ!)


ほかにも要介護度4、レビー小体型認知症の女性。ハナさん(仮名)。
発語は少なく近づくといきなり叩いたり唾をはいたり。
デイサービス利用初日。数えたら約50回の暴力行為。

当初は何が暴力につながるかわからなかった。
家族も「認知症の症状でありあきらめるしかない」というスタンス。

しかし地道に観察したところ、
10項目くらいのパターンが見つかった!

たとえばハナさんが立ち上がったときに
スタッフがソファへ誘導しようとするとスタッフをたたく。
たたけばスタッフが退く。結果ハナさんは自分の好きなところに行ける。
その背景にはどんな思いがあるのか?
自由に動きたいということではないか。
本人の邪魔をしないように接すれば、ハナさんが叩くことは減る可能性がある。

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ハナさんにマンツーマンで接しているスタッフAに他のスタッフが話しかける。
するとハナさんはスタッフAを叩く。
どういうシステムが働いているのか。
ハナさんがスタッフAを叩くとほかのスタッフは離れていた。
ハナさんにとってほかのスタッフはスタッフAの注目を自分からそらす嫌子だったのでは?
スタッフAをたたけば嫌子が除去される。だから叩く。
それならば、スタッフがマンツーマンで対応しているときに
そのスタッフに他のスタッフが話しかけないようにすればよい。

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こうした分析をもとにスタッフの関わり方を改善したところ、
なんと暴力行為は当初の50回から1日10回程度に減少した。

これを報告したら医師から「薬が変わっただけでは?」
「ADLが落ちただけでは?」という質問があった
薬は変わっていない。
事情をしらない人がハナさんと接したところたくさん叩かれた。
すなわち状態が落ちたことによる暴力行為の減少とは考えにくい。


たしかに行動分析は「人をコントロールしようとしているのか」
という批判を受けることがある。
しかし、ケアの理念をベースにすればどんどん良く活用できる。
高橋先生はそうおっしゃった。

私たちはよく「本人のニーズは何か」を問われる。
行動分析はニーズを無視して対象者を変えようとするものなのか。

ちがう。むしろ、そもそも真のニーズは簡単にはわからない。
だからこそ観察や仮説が大事だ、という姿勢だ。

仮にケアプランですぐにニーズが書けたとしよう。
それは書き手が過去のパターンに勝手に当てはめただけではないか。


それから実務上の疑問として、応用行動分析は利用者全員に行うのか?
高橋先生に聞いてみた。優先順位があるとのこと。

仮に事業所で「この人はもう受けられません」と職員が訴える利用者がいる。
そういう方から順に行う。
難しい方の対応ができると職員の自身になる。
なるほど!


応用行動分析は、利用者だけでなく
自分や同僚、家族にも活用できるとのこと。

高橋先生の話を聞いて、
「人は変えられない。自分が変わるべき。」
という言葉にとらわれていた自分に気が付いた。

あきらめるのではなく、
メカニズムを観察して変数を動かしていく。

応用行動分析は幸せを自分でつかむための
有用な方法論だと思った。

回想法について(日本通所ケア研究会主催セミナー 中嶋惠美子先生の講義)

日本通所ケア研究会主催の「認知症ケアの各種療法具体的アプローチセミナー」に参加してきました。
午前中は回想法。回想ライフレヴュー研究会 代表 中嶋惠美子氏の講義でした。

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印象に残った内容をQ&A形式でメモします。
私なりに整理しているので、もしかしたら中嶋先生が使う言葉と違う点があるかもしれません。

Q.回想法の起源は?
アメリカの精神科医バトラー。1960年ごろから。それまで高齢者が過去を想い出すのは現実からの逃避だと考えられていた。それに対してバトラーは、人生を振り返ることは充実感や精神的な安定、生活の質の向上につながるとした。

Q.回想法と回想療法は違う?
違う。実は今回の講義も当初「回想療法」で依頼が来た。頼んで「療」をはずしてもらった。回想療法も回想法もそれぞれ役割があるが、中嶋先生は「思い起こすのは普通のこと」だと考えている。だから回想法。

Q.中嶋先生の経歴は?
最初は小児科の看護師だった。高齢者医療に移った当初は「未来がない」と感じていた。しかし看取りをたくさん経験し「死ぬまで未来がある」と気がついた。

Q.回想法の進め方は?
8名程度のグループ。ファシリテーター(リーダー)とサポ―トをする人がいる。1対1で行う個人回想法もある。各回テーマを決めて週に1回や2週間に1回などの頻度で8回行う。回数を決めず、年度で区切るケースもある。

Q.テーマはどうやって決める?
最初は「私のふるさと」「幼いころの遊び」など比較的あたりさわりのない内容。信頼関係ができてきたら仕事や初恋なども話題にする。

Q.各回の回想法セッションはどのような手順で行う?
お迎え→集合→始まりのあいさつ(目的、守秘義務の確認)→自己紹介→回想の導入、展開→終わりのあいさつ

Q.回想法の成果は?
ある鬱傾向のある方。車いすを使って自分で移動することはできる。好まない活動に対しては自分で立ち去る。その方が8回すべて参加した。回想法が始まる前に入口で待っていたこともある。
別の方。男性。デイサービスを利用。最終回(たまたま卒業式と呼んだ)に際して「こんな良い会をどうしてやめるんだ。ほかで話しても井戸端会議で終わってしまう。ここは記録までしてくれるのに。施設長に直談判する!」。「同窓会」と称してまた行うことになった。

Q.グループの回想法でえられることは?
互いの話に触発されて記憶が再生され、情動が響き合う。同世代の深い心の交流。異質な文化の出会い。
「情動が響き合う」という表現が気に入った。
音楽でも集まった人たちでそんな空間をたくさんつくれたらと思う。

Q.回想を促す方法は?
たとえば道具を使う。古い写真やカード、道具など。

Q.なぜ道具を使うの?
人と人が直接話すと圧迫感が出ることがある。道具を介して話すと圧迫感が減って話しやすくなる。実際にほかの受講者と1対1で回想をしてみた。

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事前に配布された書類に「思い出の品を持参」とあった。
「いつも持ち歩いている&最近ファスナーの引手の皮がはがれてきた」
という程度の理由でキーケースを持ってきた。
話しながら、結婚して引っ越したときに買ったキーケースであることを思い出した!
当時の期待と不安がよみがえってきた。

Q.8人の規模でも本音や深い話は出てくる?
回想法では必ずしも深い話を目的にはしていない。
ただ、深い話が出てくることはある。
そういったとき「このままお聞きしてよろしいですか」と確認する。
「ほかでは話せないから話させて」となったら聞く。

Q.ファシリテーターと参加者の1対1の対話になってしまう。話を広げるにはどうしたらよい?
まず話したことを復唱する。
「Aさんは秋田のご出身なんですね。」
「Bさんは北海道でしたか。」
「AさんもBさんも冬寒い地域のご出身なのですね。」
ファシリテーターは参加者同士をつなぐ接着剤。

Q.「回想法に参加しませんか?」と聞いても「結構です」と言われそうです。どうやって誘う?
たしかに回想法だと通じない。「お茶の会があるのですがいかがですか?」などと聴く。

Q.古い品が全然集まりません。骨董市に通い続けるわけにもいかないし・・・。
展示すると良いです。展示すると、ほかの人も持ってきてくれて集まります。

ーーー

中嶋先生のセミナーでいちばん印象にのこったのは「回想法」と「回想療法」の話です。
リリムジカは設立当初自分たちのサービスを「音楽療法」と呼んでいました。
途中で療法を積極的に名乗ることをやめました。
セッションに参加する人を病気の人ととらえず、共に楽しむことを第一の目的にしようと思ったからです。
中嶋先生もきっと似た葛藤を経て「回想法」を標榜するように至ったのかも、と思いました。

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会場後方に古い品物が並んでいました。