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地域に根付いた音楽療法を生んだ奈良市音楽療法推進室の歩み

音楽療法を学んだ人の話を聞くと、「音楽療法だけでは食べていけない」
「いつまで活動を続けられるか不安だ」という声をよく耳にします。たしかに、
音楽療法へのニーズが顕在化されていない現状では、そう感じてしまうのも
無理はありません。

しかし世の中には、着々と実績を積み上げて音楽療法を地域に根付かせている
組織や機関もあります。たとえば奈良市では、人口比率で全国平均の約5.5倍
音楽療法士が活躍しています。(※数値の根拠は本文最後)
彼らは定期的に施設や学校で音楽療法を実践し、保健や地域交流において
大きな役割を担っています。

この背景には推進室が、市議会、市民、音楽療法士、福祉関係団体などに対して
地道に働きかけを行ってきた経緯がありました。推進室の動きを見ると、
やり方次第で音楽療法を定着させることはできるのだ、と感じられます。

そこで、今回から4回をかけて、奈良市の音楽療法推進室(以下 推進室)の
事例を紹介いたします。

 【 第1回 】 施設での音楽活動で成果を出し、議会の承認を得て音楽療法事業が始まる
 【 第2回 】 市民向け音楽療法講座では収容人数350人の会場に800人がつめかける
 【 第3回 】 全国初の体系的カリキュラムには定員の約20倍の応募
 【 第4回 】 レクリエーションから、療育やリハビリ、予防保健分野への広がり

この記事が音楽療法士の皆様を勇気づけられるものになれば、幸いです。

【 第1回 】 施設での音楽活動で成果を出し、議会の承認を得て音楽療法事業が始まる

奈良市で音楽療法導入の試みが始まったのは、1993年のこと。
中心人物は、当時の市長、大川靖則氏でした。なぜ彼が音楽療法の導入に
意欲を持ったかというと、彼自身が音楽の持つ力を体感していたから。
彼は市長になる前に十数年間奈良市の福祉に携わっており、音楽によって
障がい者とともに一体感を得る経験をしていました。さらにオーストラリアの
ホスピスや擁護学校を訪れた際に音楽療法の存在を知り、導入の意欲を
強めたのでした。

市で音楽療法事業を進めるために最初に必要だったのが、
市議会の承認を得ること。議会の承認を得なければ、市として
事業を進めることはできません。

市議会の承認を得るためには、音楽療法の実績が必要でした。
しかし、まだ始まってもいない音楽療法に実績などありません。

そこで市長はまず、市内の授産施設と障がい者福祉作業所の2か所に、
音楽の専門家を招き、テストとして音楽活動を行いました。
主な活動内容は、楽器演奏や手遊びなど。1993年7月のことでした。

テストは新しい試みでしたから、始めから活動が盛況だったわけではありません。
しかし導入から1年後には、授産施設で平均60数名、福祉作業所では20名近く、
心身に障害のある方が継続的に参加するようになりました。
活動を重ねるにつれ、彼らのレパートリーは、唱歌、わらべうた、フォークソングなど、
さまざまなジャンルに増えていきました。音楽活動は、施設内にとどまることなく、
施設の記念行事や福祉大会でこのレパートリーを披露するに至ります。

このような活動の結果、利用者たちには「明るく豊かな表情が増える」、
「仲間意識が芽生える」、「音楽の時間を支えに日常の生活でも積極性が出る」
という変化や成長が見られました。

施設の職員および市議会は活動の意義を認識します。そして、福祉政策に
音楽療法を導入することが期待されるようになりました。市は音楽療法
検討委員会(以下 検討委)を設置し、ここから奈良市の音楽療法推進事業が
始まります。


第1回は、ここまでです。

音楽療法の導入を計画する検討委は、市民の関心やニーズを知るために、まずは
オーストラリアから音楽療法士を招いて講演会を開きます。これが大きな反響を呼んで、
音楽療法事業は一気に加速します。第二回では、そのときの様子についてお伝えします。

どうぞお楽しみに。

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※「全国平均の約5.5倍」の根拠につきまして

 日本の人口・・・約1億2700万人(平成20年11月)
 日本の認定音楽療法士の人数・・・1445人(平成20年12月)
 音楽療法士一人あたりの人口・・・約88,000人

 奈良市の人口・・・約37万人(平成20年12月)
 奈良市の音楽療法推進事業に携わった認定音楽療法士の人数・・・23人
 音楽療法推進事業に携わった認定音楽療法士一人あたりの人口・・・約16,000人

 約88,000(人)/約16,000(人)≒5.5

 ちなみに奈良県全体には平成20年12月現在49名の音楽療法士がいて、
 都道府県ごとの人口比率は全国1位です。

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※この記事の執筆には、「奈良市福祉総務課」および「奈良市社会福祉協議会
音楽療法推進室」
のご協力をいただいております。
奈良市では全国平均の約5.5倍の音楽療法士が活躍しています。その活躍を支える奈良市音楽療法推進室の活動について、全4回でご紹介いたします。音楽療法士を実践されている方、音楽療法士を目指す方は、きっと勇気づけられるはずです。
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