スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

学校では教えてもらえない現場の開拓の仕方

大学で一生懸命音楽療法を勉強したものの、音楽療法だけで本当に
食べていく思うと躊躇してしまう。その原因の一つは、どうすれば
自分の現場が開拓できるかイメージがわかないことだろう。実際私が
会ってきた何人かの音楽療法学科卒の人たちは、就職活動の際に
ひととおりの施設を回るものの、そこで音楽療法の求人がないことを
悟り、教員や一般介護職についていた。自分で開業する人は稀だ。

しかし、求人がなくたって、自分で現場を開拓することはできるかも
しれない。そんな勇気をくれるのが、この音楽療法士3つのオキテだ。
内容は、現場における具体的かつ実践的なアドバイスに満ちている。
イメージを想起させる文章表現も巧みだ。音楽療法学科卒でない
私でさえ、この本どおりに活動すればこの仕事で食べていけるのでは
ないか、と思えてくる。

たとえば「職場での他職種の人との関係作り」という項。ここでは医師や看護士、
理学療法士だけでなく現場の全ての人と、良好な人間関係を築くべきだと説かれている。

事務方の職員、栄養士、調理師、清掃、警備の仕事を行う人たちも、音楽療法士と
共に仕事をする他職種の人たちである。こうした職種の人が、対象者への暖かい、
自然な良い感じの働きかけを行っていることも、けっこうある。これらの他職種の
人たちとも、仲良くなっておく方が良い。(14ページ)

こんな内容、私が今まで見てきた音楽療法の教科書には載っていなかった。

机上で勉強しているだけだと見えにくい、保護者の視点が描かれているのも有難い。

保護者の中には、音楽療法に対するはっきりしたニーズを持っていない人もいる。
そういう人には、最初の時点では、ニーズを言ってくれるように迫らない方がよい。
親の側が、何か追い詰められているように感じて、音楽療法をドロップ・アウトする
危険性があるからだ。(64ページ)

「保護者には常に何かしら要望があって、それさえ汲み取ってセッションを行えば喜んで
もらえるに違いない」という安易な誤解を、よく戒めている。人間はそんなに単純ではない。

こんな風に、実践的なアドバイスが得られるのは有難い。しかしこの本の中で何より
素晴らしいのは、音楽療法士がもつべき精神性について、前向きで力強い定義が
なされていることだ。

本書をここまで読んできて、「音楽療法士はそんなにまで、『耐え難きを耐え、忍び
難きを忍ぶ』必要があるのか?」と思った人もいるだろうが、私はそんなことを言い
たいわけではない。上司や他職種の人に対して、へりくだって奴隷のようにふる
まえ、と言いたいのでもない。むしろその逆である。音楽療法士はプロフェッショナル
としての誇りを持つべきだ。ただ、その誇りは「しなやかな誇り」でありたい。(50ページ)

これからの音楽療法士は、既存の職場での仕事をきっちりする一方で、新たな
領域、新たな仕事の方法を創造することが求められている。「安定した職場がない」
ことを嘆くのではなく、安定した職場を自分の力と才覚で創り上げていくバイタリ
ティを持とうではないか。(138ページ)

既存のシステムの中で与えられた仕事をするだけならば、それはさして重要なことでも
ないし、取り立てて言及すべきことでもない。しかし、自己を厳しく律しつつ、フロンティア
精神をもって未知に飛び込んでいくならば、そこには至上の価値がある。そんな音楽
療法士のあり方は大いに推奨されるべきだ。この本は、実は私が音楽療法の業界を
盛り上げたいと思ったきっかけになった一冊だったりもする。

音楽療法士3つのオキテ―音楽療法士、音楽療法士を目指す人の実践ハンドブック
学校で音楽療法を勉強したが、途中で別の道についてしまう原因の多くは、「自分が本当に音楽療法士として生きていく」というイメージがわかないからだろう。実践家でありつつ多くの大学で教壇に立っている二俣 泉氏の「音楽療法士 3つのオキテ」は、私達に鮮やかなイメージとこの世界に飛び込むための勇気を与えてくれる。
コメント
コメントの投稿(管理者の承認の後、反映されます)
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。