で、お前はどうする?

大学の剣道部時代、ものすごく強い同期が居た。

高校時代、彼は団体戦で全国制覇を成し遂げ、
大学時代も個人戦で全国上位に入った。

背丈はそんなに高い方ではない。
しかし、立ち会うとなぜかわからないが、動けなくなる。威圧感?

「どうしようどうしよう」

そう思っているうちに、彼の体、剣先は私の間合いを犯してくる。
ずずずっ、と正中線が割られていく。

「来る!」

そう思ったころには頭にずしりとした感触が残っているだけだ。


「普段どんなこと考えて立ち会ってるの?」
「いや、なんも考えてないよ。」
彼に質問すると、たいていお茶をにごしたような答えが返ってきた。

だが、一度だけちゃんと答えてくれたことがあった。


「こっちは、決めてるんだ。『メンに行くぞ』って。
それで、相手に問いかけるんだ。

『俺は行くよ。で、お前はどうする?』ってさ。

そこで、動揺してくれればその隙に打ち込めばいい。
動かなければ、そのまま打ち込めばいい。簡単なことだよ。」
 
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