本当のピンピンコロリの話をしよう

ピンピンコロリ?そうそううまくいかないよ。いつ認知症になるか、いつ療養生活が始まるかなんて誰にもわからない。ピンピンコロリなんて、うまくいかなかった人にとってはむしろ暴力だ。

そんな風に思ったことのある方はいませんか?私は、実はそう思っていました。もちろん「自分がピンピンコロリと長期療養どちらがいい?」と聞かれたら、ピンピンコロリ。でも、それを推進するのは抵抗がありました。だって、ピンピンコロリを推奨されて、できなかったら辛すぎるじゃないか!私の人生は失敗か!

今日は、藤沢市で介護を起点に地域づくりをしている加藤忠相さんのお話を伺いました。
https://www.facebook.com/events/830099840446264/847619655360949/
普通介護施設というと、お年寄りが車いすに座ってぼーっとして、介護士が忙しくお世話をするシーンを思い浮かべませんか?

加藤さんが運営するあおいけあは違います。おじいさんがタイヤ交換をしたり、苗を植えたり、剪定をしたり、おばあさんが地域にごみ拾いに出かけたり、お餅をついて近所に配ったり。敷地の中で職員の結婚式だってやります。もちろん、ホテルでもやって、ではありません。こっちがメイン。こっちオンリー。それも、めちゃくちゃ素敵!
https://www.facebook.com/aoicare/videos/615296708608738/?permPage=1

始めから元気なお年寄りを集めたんでしょう?いえいえ、ちがいます。あおいけあに来る前は寝たきりだった方、自宅がゴミだらけで近所の人から煙たがられていた方、DVのあった方。あおいけあのケアで、人生が輝き出しました。

え?そんなことできるの??
できます。できています。でも、同じようにやっているところはなかなかないなぁ~!
なので、今日のお話の中で、ポイントだと感じた点をご紹介します。

1.トップゴールは何か
みなさんの組織のトップゴール(みんなが目指すこと)は何でしょうか?ゴールはメンバー全員でそろっていますか?
ある介護施設では、社長はお金もうけ、管理者は安全、職員はレクの充実、となっているかもしれません。それぞれの意見が対立したときに前に進めない。
あおいけあではスタート地点に「介護とは自立支援である」「人にされて嫌なことはしない」という規範。トップゴールに「より良い人間関係の構築」。これさえ守れば何をしてもよい。マニュアルはありません。もし、やるかどうか迷ったら?「加藤さんに聞いてみて、『OK』と言いそうだ、と思ったら確認しなくて良い。確認しなくて良い。」わかりやすい!

2.ハード
介護施設を地域から孤立させ「施設」たらしめるものはなんでしょうか。いくら地域向けイベントを打っても少数の知り合いしか来ないのはどうしてでしょうか。ハードに問題があるかもしれません。毎回施錠されているとか(実際あります。カフェスペースがとっても素敵なのに、外から入るにはいちいち開錠が必要で催しが催されない・・・)。あおいけあではカベをこわしました。今では通学・通勤の人が敷地内の道をごく普通にとおりすぎていきます。手をつなぐ高校生カップルも。「わしらのころはあんなことしなかった」という声が聞こえてくるとか!
誰もがごく自然に入っている場所。遊びに来る子どもや利用者さんたちがつくったものをイベントで販売することもあるそうです。売れる?毎回盛況。もうかったお金で江の島にお出かけして好きな丼ぶりを食べよう!
建物の中だってそう。いわゆる介護施設の椅子、机。私たちがこの空間に7時間いられるか?!私たちだって正直キツい。なのになぜ、それをお年寄りができると思う。できないことを要求し、いざ立ちあがったら徘徊、抑制。それでは優しい介護職員ほど心が折れる。あおいけあのテーブル(床だったかも)はすべて無垢。f分の1のゆらぎ。視床(今調べたら、視覚だけでなく嗅覚以外のすべての感覚がここで中継されるらしい)を埋める情報が快適であれば、セロトニン、ドーパミン。幸せを感じる。足が痛いのだって忘れるかもしれない。

3.アセスメント
アセスメントアセスメントアセスメント・・・。目の前の人のことを、私たちはどれだけしっているでしょうか?表面的な情報しか知らないかも。ずーっと無口な男性がいました。黙っているから、ちょっとコワい。よくよく調べると、職歴にカフェのマスター!「何がおいしいですか?」「BLTサンド(私の記憶違いで別のサンドイッチだった気がします笑)。」「食べさせてくださいよー!」まんざらでもないマスター。「いいよ。」コーヒーも入れるマスター。みんな舌鼓。包丁だってナタだって持つ。利用者に持たせたらあぶない?とんでもない。我々の方がよほど慣れていない。体が覚えている手続き記憶はそうそう忘れない。欠いている部分の強化よりも、できることに注目しようではないか。

4.単純接触効果
どんなに良いケアをしていても、初めての方がすぐに心を開くとは限らない。「おれはあんなところ行かん」よくある話。訪問介護ではなく小規模多機能だからできること。(これを読んでいる介護業界以外の人は、とにかく小規模多機能という言葉を覚えて!ちゃんとした小規模多機能は本当に使いやすくて素敵なサービスです。親の老人ホーム入居を決める前に!)。
ご自宅に行って楽しい話をして帰ってくる。何もしなくていい、何もさせなくていい。ただ、行って話す。楽しい記憶が残る。そのうち関係ができてくる。元々寝たきりの方。パジャマを着替えるところから。庭を歩く。だんだんお互いさんに近づく。でも、「俺は行かねぇよ」。考えるスタッフ。元農家だって。ではその爺さんに庭をつくってもらおう。おはよう日本の取材。収穫物を手にドヤ顔の爺さん。その写真はNHKの社内で賞を取った。

5.コミュニケーション
ある施設で、利用者に入浴介助を行う行程を調べた。「お風呂行きますよ~」&誘導&介助。これだけ。あおいけあはどうか。「ねばならない」はタブー。朝誘ってだめならいったん引く。庭に出て、汗をかき「汗もかいたしひとっぷろいかがですか?」。コミュニケーション工程を分解したらたくさん!でも、よく考えたら当たり前。我々は人である。右から左に運ばれるモノではない。納得して、はじめて動く。でも、日々の業務が忙しくてそんな悠長にできないですよ。ノンノン。あおいけあには業務はない。スタッフがすべきことは記録と運転だけだ。あとはすべて、利用者のペース。さっきも書いたけど、マニュアルは、ない。(1)スタッフがお茶を出す(2)お茶入れを手伝ってもらう(3)お客さんにお茶を出す。3つ目であれ!

加藤さんは提案する。ピンピンコロリでいこう。私は誤解していた。人の世話にならないためにピンピンし続けなければならないのがピンピンコロリ?違う。一度弱っても、ケアの力で戻ってこられる。ピンピンしているところを見つけてもらえる人がいる。安心して、ピンピンしてくれ!こういうピンピンコロリだったらいいな、と心から思った。

1974年生まれの加藤さん。3人子どもがいる。原動力は、未来だ。100歳のおばあちゃんに寄る1歳の子どもの写真が出た。この子が100歳になるころ、日本の人口は4分の1になる。そのとき、今つくったインフラはどうなる?!借金ばかり残して良いのか。

さぁ、我々は今、どうすべきだろうか。
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