要介護者を1か月介護するのにどれくらい「みんなのお金」が使われているか

実は要介護者への介護サービスには、介護保険料や税金など
「みんなのお金」が使われています。

介護サービスを提供する事業者に払われる介護報酬のうち、
ざっくり9割が「みんなのお金」です。

では、実際に1人の要介護者を1か月介護するのに
どれくらい「みんなのお金」が使われているのでしょうか。

事業者が受け取る介護報酬の金額は、
どのタイプのサービスを提供するかによって
法律で決められています。

要介護者を、有料老人ホームで1か月介護した場合と
グループホームで1か月介護した場合の報酬は違います。

また、要介護者が自宅でいろいろな介護サービスを使って生活した場合には、
その利用限度額が定められています。

以下の金額に0.9をかけたものが、
「みんなのお金」から拠出されています。(金額の前の数字は要介護度)

・自宅等で限度額いっぱいにいろいろなサービスを使った場合
1:16万円 2:19万円 3:27万円 4:30万円 5:36万円

・有料老人ホーム
1:16万円 2:18万円 3:20万円 4:22万円 5:24万円

・特別養護老人ホーム
1:16万円 2:18万円 3:20万円 4:22万円 5:24万円

・認知症グループホーム
1:22万円 2:23万円 3:24万円 4:25万円 5:25万円

・小規模多機能
1:10万円 2:15万円 3:22万円 4:24万円 5:26万円

金額は制度をつくった人の「大変だと思うからお金使ってね」
という意図が反映されます。見てお気づきになる点はありますでしょうか?

たとえば要介護5で金額が突出している「自宅」。
この中で1つだけ30万円代。しかも後半。
ここの金額が高いのは、それだけ自宅で重度の方を介護するのが
大変だと考えてのことです。(この限度額が過小か過大かは別問題)。

また要介護1の金額が突出している「グループホーム」。
「認知症の人の介護は要介護度が軽くても大変だと思うから、
報酬を大きくするね」という意図があると言えます。

一方、社会全体で見ると、いかにして「みんなのお金」を使う額を
減らすべきかということを考えねばなりません。

社会保障に使われたお金の全体を社会保障給付費と言います。

仮に1人の人が自宅で5年間要介護5の状態で
介護サービスを限度額いっぱいに使って暮らして亡くなった場合、その間
36万円/月×12か月×5年×0.9=1944万円
社会保障給付が発生します(=みんなのお金が使われます。)

逆に(あまりないケースではありますが)5年間要介護1の状態で
小規模多機能を利用して亡くなった場合、その間使われるみんなのお金は
10万円/月×12か月×5年×0.9=540万円
で済みます。

自宅×要介護5×限度額いっぱいの条件とくらべると、
約1500万円のコストダウン(年で割ると300万円)。

現在要介護5で自宅等でサービスを使っている人は約23万人。
ひたすら極端で現実味のない例ですが、
もしこの23万人が全員要介護1になって小規模多機能を利用したら
300万円/人×23万人=6900億円
コストダウンになります。

(でも、2013年に使われた社会保障給付費の高齢者部門は54兆円。
ここまで極端な例を使っても1%強しか削減できないのはちょっとがっくり)

ともあれ、今後も増大が見込まれる社会保障給付費の伸びを抑えるためには、
いかにして亡くなるまでのトータルコストを抑えるかが重要になります。

個人としては、ピンピンコロリを目指す努力が求められます。
職業介護者は、いかにして要介護者の状態を維持・改善するかが求められます。

ただ、ひとつ壁があります。トータルのコストを考えると、
要介護1で5年生きるよりも、要介護5にすぐなって1年で亡くなった方がコストは小さくなります。
このことをどのようにして受けとめるべきか。倫理的な面以外からも説明できるようになりたいです。

【追記】
>2013年に使われた社会保障給付費の高齢者部門は54兆円
こちら、表現が不適切でした。社会保障給付費は全体でざっくり120兆円、年金が56兆円、医療が38兆円、介護が9.7兆円です。
http://www.mhlw.go.jp/・・・/06・・・/kyufutofutan2015.pdf

9.7兆円のうちの6800億円だったらなかなかのインパクトです。ただ、極端は極端ですが。
コメント
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