顧客を自社に依存させるべきかどうか

かつて、ある優秀な経営者の講演を聞いた。
すばらしい内容だった。生きる勇気がわいた。
しかし、一つだけ引っかかった点があった。

「うちは、なんでもしてあげちゃう作戦を取っているんです。」
本来のサービスとは一見関係ないことも、なんでもやる。
そうするとだんだん、顧客は自社なしでは立ち行かなくなる。
交渉で強い立場に立てる。

当時「ははぁ!」と思った。

そうか。音楽の会社だと思っていたけど、やることを「音楽」に限定することはない。
なんでもやろう。その姿勢でことにあたることにした。

父はかつて中華料理屋をやっていた。
ある施設から「お祭りで出張中華をやってくれないか」と頼まれた。
喜んで引き受けた。
結果、管理栄養士さんの考え方を知ったり、
食品衛生上の書類を書いたりする経験ができた。

もし彼の講演をきいていなかったら引き受けていなかったと思う。
その施設とは今でもふかいお付き合いを続けている。

「引っかかった点」に話を戻そう。
なんでもやった結果、顧客を自社なしでは立ち行かない状態にさせてしまうこと。
これは、働く私たちが本当に目指すべきことだろうか。

たしかに顧客を自社に依存させることは、短期的な利益につながる。
値上げ交渉だってしやすい。
しかし顧客が自社に依存すると、自社はその顧客のために
時間やお金を割きつづけなければならなくなる。
顧客が切れてしまうのが怖くなる。

では、顧客が依存から解放されるようなサービスを提供してはどうか。
その方が顧客数を増やすこともできる。
長期的な利益と安定につながる。
全員が依存から解放されたら、ミッションクリア。次の仕事にうつろう。

「なんでもやる」のは顧客に依存させるためではない。顧客を解放するためだ。
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