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「多店舗展開しても理念・品質が薄まらない経営とは?」下河原社長講演メモ

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高齢者住宅新聞、編集長の西岡一紀さんにお誘いいただき、
株式会社シルバーウッド代表取締役の下河原さんの話を聴いてきました。
第23回高齢者住宅フォーラム

シルバーウッド社が展開するサービス付高齢者住宅(略称サ高住)
「銀木犀(ぎんもくせい)」は、サ高住の雄。
1棟めの「銀木犀鎌ヶ谷」のオープンは2011年8月。
高齢者介護事業への直接参入は必ずしも先発ではありませんが、
現在サ高住5棟、グループホーム2棟を運営し、いずれも高い入居率になっています。
2015年にはアジア太平洋高齢者ケア・イノベーション・アワードで優勝
2016年には日経ソーシャルイニシアチブ大賞ファイナリストにも選出
国内外で高い評価を得ています。

講演がとても示唆に富む内容でしたので、印象に残った点をメモします。
なお、メモをとりながら話を聴いているので、下河原さんの言葉遣い、考えと
完全には一致していない可能性もあること、予めご了承ください。

【サービス付高齢者住宅の運営全般について】
・状況把握・生活相談サービスの提供時間は24時間常駐がサ高住全体の74%。
なぜか。家族は安心を求めるから。
・サ高住全体の入居率78.2%。けど実際はもっと少ないのでは。

・足立区にあるサ高住38棟のうち半分くらい入居率50%。地方では特に供給過多。
・入居者を増やすポイントは魅力の発信と地域連携。
・サ高住の営業担当者はなぜ地域の勉強会に行かないのか。行くべき。
なんなら主催しよう。仮に直接の営業につながらなくても。
・包括や病院から見れば、頭を下げる営業はいつもきている
・いかに入居者に対してメリットを提供できるか&働いている人がいきいきしているか。
さらに、地域の中心になる。祭りや勉強会。

・定期巡回随時対応型訪問介護看護。サ高住と相性が良い。
やることが決まっている訪問介護に対して、必ずしも決まっていない定期巡回~。
職員が考えるようになる。なお、サ高住内だけでなく地域でサービス提供するべき。
建物内だけだと息がつまる。地域に出ると職員がいきいきする。

・賃貸住宅だから、施錠はしない。建物から出ていったら自己責任。
それを最初にちゃんと説明しているか。入居してほしさに「なんでもやります」になっていないか。

【職員の採用、育成について】
・入居者よりも職員を集める方が大変な時代。いかに働く人を輝かせられるか。
・研修はとにかく楽しんでやる。最初はやる気がなくてもだんだん楽しめるようになる。
・銀木犀のドラムサークル。誰か職員が太鼓を鳴らしたら
他の職員も手をとめて参加するルールをつくった。
職員が楽しむ。すると入居者が集まってくる。
職員が入居者を集めるのではなく。集まるようにする。
・最近ヒットした研修。入居者と家族が違うホームの職員に
「自立して生活できるようにするためのニーズ」を話す。本音が出た。
・社長と語る会を始めた。「言っていいんですか!」といってガンガン話してくる職員。
アツく想いを語る職員がこんなにいたのか。

【銀木犀の運営について】
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・銀木犀市川。駐車場にするはずのスぺースにデザインした門扉とアプローチをつくった。
なぜか。「素敵なところに来た」と思ってほしかったから。
自宅を離れ「こんなところに入るはめになった」と思わないでほしい。
結果、あっというまに満室。「私そこに入居しているのよ」と自慢する方も。

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・下膳、配膳は自分で。オープン当時からそうするべき。途中で切り替えるのは難しい。
・自分で、という文化の中で要支援1の人が要介護5の人のお風呂を手伝うこともある。
・いかに仕事を作り出すか。
・服薬もなるべく本人が管理するようにしてくれる訪問薬局を探す。

・「なんでもやります」だと転倒骨折の時に家族が怒る。
あらかじめ「自立した生活にはリスクがある」と説明し納得してもらう。
骨折があったときに、むしろ謝ってくるケースもある。
・「看取りをやっていますが、看取るのは家族ですよ」と家族に言えるか。

・ハーバードの調査によると、長寿の秘訣ナンバー1は「つながりがある」こと。
・本気で取り組めることをつくるのが、これからの高齢者住宅の課題。
・器をつくり、盆栽にした。500円で飛ぶように売れた。
今度はそのノウハウを高齢者が子ども等に教えられるようにしたい。

・ユニホームは介護する人、される人をつくってしまう。
・もっと交じりあって暮らす。その積み重ねでホームの文化ができる

・取りくみが続かなくてもいい。入居者の願いをかなえられるならば。
入居者の希望で居酒屋をつくった。近所の保育士も来た。
今は、やりたいと言った入居者が体調を崩して続いていない。
一瞬でもかなえていくことが、職員のやる気につながる。

・共用部に誰もいないサ高住。なぜ誰も来ない?誰もいないから。
職員の事務所と共用部の空間をつなげる。そしてキッチンをつくる。
入居者は女性が多い。人は水まわりにあつまる。

・事業所を横断して活躍する歯科衛生士がいる。常勤1名、パート1名。
輝いている。最近ではPTも雇用した。同じように輝いている。
なぜ?自分で考えて専門性を発揮できる環境だから。

・拠点が増えても理念が薄まっていないように見える。
なぜか。権限移譲を進めているから。
予算もバンバンだす。
ただし、あくまで「自分たちはビジネスをしている」と強調している。
お金は無尽蔵に使うというわけではない。
仮に1000万円かけるとして、それが1億円になるなら問題ない。

・所長はプロパー中心。過去には入社3日めで所長に
することを決めた人もいる。抜擢は今後もしていきたい。

【看取りに関して】
・下顎呼吸(かがくこきゅう)は人生のラストスパートby悠翔会佐々木先生。
辛そうだけど、そのつらさを取ることはない。むしろ「おばあちゃんがんばれ」。

【今後の事業展開について】
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・なぜVRをやるのか。認知症を一人称で体験する。
認知症でどう感じるかは、なかなか想像しにくい。体験したことがないから。
一方風邪のつらさはわかる。体験しているから。
VRならば一人称で体験できるようになる。

・団塊の世代の死生観を形成することが、これからの日本の課題。
予防をしながらなるべく医療にたよらず死に向かう。社会保障費の増大を防ぐ。

【特に印象に残った点】
私としては、特に以下5つのポイントが印象にのこりました。

(1)サ高住自らが地域包括ケアの中心になっていくべきという話
いろいろな地域をみていくと、包括が中心のところもあれば、
デイサービスが中心のところもある。特養だったり、グループホームだったり・・・。
地域の拠点は上から指定されて決まるのではなく、
その地域で一番腹が座っている人がいるところに自然となる。
面倒なこともひっくるめて引き受けて、全体を見る。
半端に取り組むと辛いですが、腹をくくれば楽になる。
リリムジカのミュージックファシリテーターも、
ある角度で地域のハブ・中心になれるようにしていきたいと思いました。

(2)職員から楽しむドラムサークルの話。
リリムジカが訪ねる介護事業所でも
「職員がいきいきと楽しんでいるか」
「ただアクティビティのスペースに誘導しているか」で
雰囲気が全然かわります。
なので下河原さんが話すことがすごくよくわかりました。
最終的には、介護士の方に「ごく普通にそばにいて、けれど専門技能と
知識があるから助けてくれる人」であってほしいと勝手に思っています。
まずは、「一緒に楽しむことも仕事のうち」と訴えていこうと思います。

(3)デザインした門扉とアプローチの話。
「老人ホームだから仕方がない」
そこで思考停止していないか考えさせられました。
利用することが恥ずかしいことではなく、自慢なんだ!
そう思えるサービスを自分も創り上げていこうと思いました。

(4)取りくみが続かなくてもいいという話
つい、続かないと意味がないのではないかと考えがちです。
けれど、続かないことを怖れて何もしないことの方がもっとよくない。
果敢にチャレンジを続けようと思いました。

(5)事業所を横断して活躍する歯科衛生士がいる話
今回一番驚いたのがこの話です。中規模の介護施設運営事業者が
音楽療法士を数名雇って失敗する(離職率が高い、思ったように機能しない)という
話をよくきいていました。
今までそれは、介護施設運営事業者に、介護職員を育成・マネジメントするノウハウはあっても、
音楽療法士を育成・マネジメントするノウハウがないからだと思っていました。
なぜノウハウが蓄積されないかというと、少数だから。そう考えていました。
なので、少数でも機能して活躍しているという話は予想外でした。

下河原さんからは「自分で考えて動けるからでは」という解説がありました。
私はそれに加えて「医療、福祉がベースの職種だから介護職員と
共通言語を持ちやすいからでは」と考えます。
音楽療法士が必ずしも機能していないケースでは、
会社は音楽療法士に丸投げし、音楽療法士は「自分がやりたい音楽療法」をやろうとする。
噛み合わず、すり合わせる努力もせず、取り組みがうやむやになる。

事業所横断的に活動する音楽療法士の機能させるには、プロにお任せ・丸投げ
するのではなく、繰り返し会社の目的と言葉を伝える必要があります。


下河原さんの講演、印象深い言葉の数々でした。
下河原さん、お誘いくださった西岡さん、重ねてお礼申し上げます。
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