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音楽療法士が知るべき保険の仕組み

「音楽療法は保険がきかないから、音楽療法士は食べていけないのだ」という
話をよく聞きます。なんとなく「そうなのかぁ」というイメージは湧きますが、
実際のところ保険の仕組みはいったいどのようになっているのでしょうか?
「音楽療法を保険がきくようにしたい」立場を取るにせよ、その立場を取らないにせよ、
事実に即した議論をするためには、保険の仕組みについてきちんと知る必要があると
考えられます。ここでは、音楽療法士が知るべき保険の仕組みについて、説明します。

まずは下の図をご覧ください。これは、いわゆる「保険がきく医療」(保険診療と
よびます)における各主体のやりとりを簡単に表したものです。


 保険診療の仕組み


この図における保険医療機関はいわゆる病院を指します。また、非保険者は
いわゆる患者さんのこと、保険者は企業が設立する健康保険組合等のことを指します。
おさえておきたい流れは以下の4つ。漢字が多いですが、内容は簡単ですので
ぜひ飛ばさずに読んでください。

1.被保険者は、日ごろから保険者に保険料を支払っている。
2.被保険者が保険の適用が認められる診療(保険診療)を受けた際、
  保健医療機関は診療報酬点数表に基づいて診療報酬を計算する。
  (※1点=10円 ※例えば時間内の初診で270点と定められています)
3.保険医療機関は診療報酬の一部を被保険者に請求し、
  被保険者はそれを支払う。
4.保険医療機関は診療明細(診療報酬明細書、レセプトとも言う)を
  保険者に出し、保険者は残りの診療報酬を保険医療機関に支払う。

まとめると、「被保険者は日ごろから保険料を支払っていて、それゆえ
いざというときに安価で保険診療を受けることができる」ということになります。

一方世の中には保険のきかない診療(自由診療)もあります。自由診療には
保険で認められていない治療法や、通常の歯列矯正や美容整形など
要医療状態以外に対する医療行為が含まれます。現状では音楽療法も保険が
きかないので、この自由診療に含まれます。保険診療では全国一律の
診療報酬点数表によって診療報酬が決まりますが、自由診療では
各医療機関独自の裁量で診療報酬が決まります。


 自由診療の仕組み


ここで、もし神経症の患者のために、病院で自由診療として音楽療法をやりたい、
という際に、それができるのであれば問題はありません。しかし現在、病院で
自由診療による音楽療法を行うのは難しい状況になっています。なぜならば、
「混合診療の禁止」という制度があるからです。簡単に言うとこの制度は、
保険診療を受けている患者が自由診療を併用しようとすると、保険診療で
元々保険者に負担してもらうはずだった分も全額自己負担をしなければ
ならなくなる、というものです。


 保険診療と混合診療


実際、東北大学病院では緩和ケアセンターで音楽療法を行っていますが、
自由診療として音楽療法を行うことができないため、治療費の請求は
行っていません。また、同施設では自閉症児に対する音楽療法を
自由診療として行っていますが、音楽療法を受診する患者さんは、他科の
保険診療が受けられないようになっています。

(the ミュージックセラピー vol.10 「東北大学における音楽療法の取組み」より)

医療格差、保険財政などの視点から、すぐに混合診療を解禁すべきだ、と
言い切ることはできません。しかし、「混合診療の禁止」という制度が、
病院における音楽療法の普及をさまたげている事実はあるようです。


※参考資料
 社会保険庁 全国健康保険協会管掌健康保険基礎知識
 ウィキペディア 健康保険
 法庫ドットコム 健康保険法のページ
 東プラ健保 健康保険の仕組み
 全国保険医団体連合会 医療用語の解説
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