2017年の振り返り

昨年に続き、1年をふりかえってみる。

定期的なプログラム実施事業所数は113か所から130か所に増え(昨年は14か所増)、
ミュージックファシリテーターは21人から28人になった(去年も7名増)。

特に印象的なトピックは以下4つ。

1.プログラム実施全事業所へのアンケートの実施
プログラムを行うことでどれだけインパクトを出せたかを明らかにするため、
初めてプログラムを行っている全介護事業所へのアンケートを行った。

回答くださった方のうち、
「入居者・利用者がプログラムを楽しみにしている・やや楽しみにしている」と答えたのは88%、
「参加者の日常に変化があった」と答えたのは57%、
「職員に変化があった」と答えたのは49%だった。

アンケートの集計冊子

これから毎年アンケート調査を行い、インパクトの向上に努める所存だ。

2.日本認知症ケア学会での演題発表
昨年、ある特別養護老人ホームで利用者の要介護度を調べたところ、
プログラム参加者の方が非参加者よりも改善率が高いという結果が出た。
学術的な裏付けを得るべく、介護系で知る限り最も規模が大きい
認知症ケア学会に抄録を提出し、演題発表を行う機会を得た。

人生で学会発表をする日が来るなんて想像していなかった。
発表を助けてくださった千葉・柏リハビリテーション学院の田村孝司先生、
東京都健康長寿医療センターの伊東美緒先生に感謝。

3.「参加」の意味の広がり
これまでリリムジカのプログラムにおける「参加」とは
好きなように歌って、話したいことを話すことだと考えていた。
今年は1年のうちに2つ、新しいかたちを試みることができた。
ひとつは4月に始まった歌唱能力の上達をめざす教室タイプ。
もうひとつは12月に初回を行った演奏を聴くコンサートタイプ。
どちらも好評で2018年も続いていく予定だ。
対応できる仕事の幅が広がったことを嬉しく思う。

4.講演の仕事
今年は講演の仕事を多くいただいた。
転機になったのは介護アロマを実践する方向けに行った講演。
介護アロマは高齢者本人に喜ばれるサービスであるにも関わらず、
効果の可視化が進んでいない。リリムジカがたどってきた道に近い。
依頼くださったアロマ・エンカレッジの坂内美由紀さんと
聴衆のニーズを考え、聴衆が現状から理想に近づくために必要な情報を組み立てた。
「聴けてよかった」という声を多くいただけたのが嬉しかった。

NPOクロスフィールズさんから依頼いただいた
NTTドコモの社員の方向けの講演は難しかった。
聴衆が何を求めているか、想像がつかなかった。
「伝えたいことなど何もない」と思ってしまった瞬間もあった。
けれど、クロスフィールズの担当西川理菜さん、井上良子さんと
何度も打ち合わせを重ね、きちんと聴衆に期待をかけて話すことができた。
講演後、すぐにクロスフィールズ代表の小沼大地さんが近寄ってきて
「今まで聴いた数々のプレゼンの中でもかなり良かった」と握手してくださったのが嬉しかった。

人前でお話させていたいただく仕事。
ひとつひとつが重いのでたくさんはできないけれども、
2018年もチャレンジしたい。


2017年は、リリムジカの仕事以外にも
長男と10日間の台湾旅行に出かけたり、
英語の勉強を始めたり(急きょちょっとした通訳をする事態にも遭遇!)、
介護×人材マネジメントの論文の執筆を始めることができた。

うまくいかなかったこともあるけれども、良い一年だったと思う。
お読みの皆様、2018年もよろしくお願いいたします。

福祉業界で働く上でのいくつかの論点

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金曜日の夜は、千葉に出かけて中浜崇之さん、後藤晴紀さん、遠田悟さんの
トークイベントに参加してきました。

【これが私の働き方-介護と障がいの仕事のこれから-】
https://www.facebook.com/events/436093776738175/

「福祉業界あるある」などのネタを交えつつ、それぞれの今までとこれからをお聞きしました。

バーンと答えを提示されるというよりも、聞きながらいくつかの論点が
浮かび上がってくる感覚がおもしろかったです。

・「職場で行われていることは自分がやりたいことと違う」と感じたときに、職場を去るべきか。ねばるべきか。
(遠田さんは去りながらステップアップしたタイプ。後藤さんはねばってステップアップしたタイプ)

・仕事の質と熱いハートは相関するのか
・「全員が熱くなくても良い」とした場合に、何をチームの共通項とすべきか

・利用者とおしゃべりできないからやめる人もいれば、おしゃべりするために
「どうしたら時間をつくれるのか」を考える人もいる。その差はどこからくるのか。

・利用者のニーズが先なのか。援助者の「○○したい(してあげたい)」が先なのか。
(理論的には前者のような気がするが、援助者の「したい」がなければ気持ちの乗ったサービスにならない気もします)
・では、援助者の「○○したい」にかかるコストはどこまで制度で賄うべきなのか。

・利用者がとった予期せぬ行動をばかにするのは望ましくない。
一方、予期せぬ行動を楽しめる感覚も必要。
では、「ばかにする」のと「楽しむ」の。その境はどこにあるのか。

中浜さん、後藤さん、遠田さん、運営のみなさま、
たのしく考えさせられるひとときをありがとうございました。

▼中浜さん、後藤さんが勤める社会福祉法人希桜会のページ
http://www.kioukai.com/

▼遠田さんが勤める株式会社BASGLIA(読みはバザリア)は、新しい会社で
ホームページはありませんが、千葉県内で障害者のグループホームを事業として行っています!

どうしてミュージックファシリテーターなのか⑥

どうしてミュージックファシリテーションなのか①
どうしてミュージックファシリテーションなのか②
どうしてミュージックファシリテーションなのか③
どうしてミュージックファシリテーションなのか④
どうしてミュージックファシリテーションなのか⑤

音楽療法からはじまり、
ミュージックファシリテーションをみつけて、音楽療法から離脱。
そこから音楽療法に回帰。

けれど、やっぱりわたしは、
ミュージックファシリテーションが気に入っている。


2016年に調べごとをして、
私たちの仕事の背景には音楽療法があることがわかった。

そのあと、ハタと気づいた。

私は、同じくらいの熱量で「ファシリテーション」について語れるのか。
あぁ、わたしはファシリテーションのことを知らない。

語源は何?
どんな風に使われている?
誰が分野を築いてきた?

セラピーとファシリテーションを対比してみてはどうか。

セラピーの語源はセラポン。
元々「2人で何かをする」ような意味を帯びたことば。

2人は、どちらかがクライエントで、どちらかがセラピスト。
患部を特定して治療する。

介護現場における「音楽」も、1対1や少人数グループだったら、
セラピューティックに行うことが適切なケースもあるかもしれない。

しかし、それに対してファシリテーション。

語源は「ファシル」。「何かをし易くする」という意味。

セラピストの介入やプロトコルに重きがあるのではなく、
いかに参加者同士の相互作用をつくるかに重点がおかれている。

リリムジカで多く展開しているような、
6名以上多くて40人規模のグループは、
やはり「ファシリテーション」のあり方が適しているのではないか。

よくないところがあるから音楽を使って介入するのではなくて、
楽しみたいから一緒に音楽する。

加藤忠相さんが言っていてすごく感銘を受けた、
「お年寄りを楽しませるのではない。お年寄りが楽しませる。」
ということばにもしっくりくる。

与える or 与えられる という関係ではない。

「ミュージックファシリテーション」を見つけたあのころは、
「音楽療法から離れれば何かが変わるかもしれない」と期待して飛びついた。

けれど今、思う。

ミュージックファシリテーションは、
音楽療法を母に、ファシリテーションを父にもってうまれた
子どものような存在ではないかと。

音楽療法からは音楽を意図的に使う姿勢を、
ファシリテーションからは自分が供するのではなく場が価値を醸し出すあり方を、
受け継いでいる。

わたしはミュージックファシリテーションに、期待をしている。

未解決の問いはいろいろあるけれど、
今、このように、考えている。